大人と子供どっちが得か




子供会議だったかキッズ相談だったか名称は忘れてしまったが、子供達が議題に対して意見を言うという番組があって、その日のテーマはたしか「大人と子供どっちが得か」で、私は当然子供達は「大人が得だ」と主張するとばかり思っていた。


大人は好きな時に好きな物を買えて、大人は夜に外出することもできる、お酒を飲んだり、休日にソファでゲームを何時間していても叱られない。子供にできないことが、大人にはたくさん許されている。

子供に歯磨き終わったらジュースは飲まないよと教え、子供が見ていない内にジュースをがぶ飲みした背徳感も記憶に新しい。


ところが、そこにいた小学生たちは一人残らず「子供が得」だと主張した。曰く「大人は仕事しなきゃいけない」「税金とか住宅ローンを払わなくちゃいけない」「割引してもらえる」「大人の方が人生が長くて子供は一度しかないから」とか答えてる小学生までいて


私は今時の子供の意見に思わず絶句してしまった。

子供たちの言ったことは確かに事実。紛れもない事実に過ぎないんだけど、でもみんな本当にそう思ってるのだろうか。誰が教えたの?と多少の怒りまで湧いたのを覚えている。


だって彼らはいずれ大人にはなるのだから。そしてそのことを知っているのだから。

楽しいのは子供のうちだけだなんて気の毒すぎる。大人になれば辛いことばかりだなんて思いながら大人になるなんて残酷すぎないか?気が狂う。



子供の頃、周囲の大人達は楽しそうに見えた。徹夜で麻雀。賑やかに煙草の煙りで白くもやがかる部屋で酒を飲み、子供には食べさせてもらえないおつまみや刺身が机に並べられていた。私の実家は阿波踊り一家だったので、毎年夏になれば毎日舞台や祭りが終わると大人達は打ち上げと言う名の飲み会に出かけていった。面白い大人が多かったし、憧れ、早く大人になりたいとおもっていた。彼らだって仕事をしていたし、きっと住宅ローンや税金も払っていたけれど、でも、人生を楽しんでいたと思う。そう思わせた彼らはカッコ良い大人だったのもしれない。




しゆ